日本歯科技工所協会とは

日本歯科技工所協会は1967年(昭和42年)4月25日に創立した歯科技工を業とする経済団体です。
日本歯科技工所協会の目的は、歯科技工業界の直面する内外の重要課題の解決を図るとともに歯科技工界並びに歯科界全体の健全な発展に寄与することです。
その為、主として理事会及び各種委員会、支部会において歯科技工業界の公正なる意見を取りまとめ、行政その他医療関係機関及び関係団体に対して提言するとともにその実現に努めております。
また各国の行政機関を通して、歯科技工関係団体と協力して歯科医療や歯科技工の国際的問題解決と諸外国との交流の緊密化を図っております。さらに企業行動憲章(歯技協同意書等)を取りまとめるとともに会員企業に対し、その遵守を働きかけることを通じ、会員企業の信頼の確立にも努めています。
一方、我が国歯科技工業界に対する正しい理解を促進するためにインターネットを通じた情報提供、広報の発行をはじめ、国内外の報道機関に対する積極的な広報活動を行うとともに歯科医療関係者や患者さん、各種歯科関係団体との交流の拡大を図っています。
日本歯科技工所協会 理念
  1. 人々の健康と輝く笑顔に、歯科技工業を通じて貢献します。
  2. 会員企業の知恵と経験を共有し、行政及び医療関係団体等と連携を図り、歯科界の健全な発展に尽力します。
  3. 会員企業は高いコンプライアンス意識を持ち、求められる人材を育成し、より良い企業環境を実現します。
【歯科技工士とは?】

歯科技工士とは歯科医療の一端を担う国家資格を有する専門職です。特定の患者に対して、歯科医師の指示に基づいて、義歯注1やクラウン注2・ブリッジ、矯正装置、マウスガードなどを製作します。また、インプラントや顎顔面領域への外科的な修復に関わる装置等も製作します。従って、高度で精密な加工技術を要求されるとともに、患者ごとに異なる歯の形や色を再現する繊細な審美感覚を求められる仕事でもあります。

一般的な作業として、歯科医師が口腔内治療を行った際、その対象となる部分や対合する歯の印象を採得後、その印象材へ石膏を注入し、口腔内を再現した模型を作ります。ここからの工程が歯科技工士の仕事となり、各歯科技工士の職人感覚(個人知)によって、個々の患者に適応した義歯やクラウン等を製作します。
しかし、近年ではデジタル技術の普及により、口腔内をスキャンしたデータをもとに歯科技工物の製作ができるようになりました。今後の歯科治療及び歯科技工は更にデジタル化が進み、精度や利便性が高まることを期待されています。

歯科技工士になるためには、高校を卒業後、歯科技工士養成課程のある専門学校・短期大学・大学で必要な知識と技術を修得し、所定となる全課程を修了後に国家試験の受験資格が与えられます。また大学歯学部の歯学課程を修了した「歯科医師国家試験又は歯科医師国家試験予備試験を受けることができる者」に対しても受験資格が与えられます。全国統一の国家試験は毎年1回行われ、合格後に厚生労働大臣より免許が与えられます。

【歯科技工士の勤務先は?】

歯科医院を訪れる患者は、歯科医師や歯科衛生士とコミュニケーションを取って治療をしています。しかし義歯やクラウン等の製作をする歯科技工士とは直接的に触れ合う機会は少ないと思います。一般的な他の職業に比べて、その存在を認識されにくい歯科技工士ですが、主に下記の5か所において働いています。

  1. 歯科技工所
    歯科技工所に勤務する約7割が就業者数10名以下の小規模な歯科技工所で仕事をしています。また約2割が就業者数11名以上の中・大規模歯科技工所に勤務しています。(2018年歯科技工士実態調査報告書)
  2. 歯科医院
    基本的に歯科技工所に勤めている歯科技工士と業務内容は変わりませんが、臨床現場の最前線で患者と接している歯科医師や歯科衛生士らとともに歯科医院内に併設された歯科技工室で働いています。
  3. 病院
    大学病院や地域の総合病院等に併設されている歯科技工室での勤務です。一般的な歯科技工所や歯科医院に比べると難症例も多いため、外科的な知識や技術が必要になる場合もあります。
  4. 歯科用材料・器機製造メーカー、歯科用材料・器機販売ディーラー
    歯科技工士の資格を活かし、歯科材料・器機の商品開発や商品販売等を行う仕事です。
  5. 教育機関
    歯科技工士を養成する大学・短期大学・専門学校等で教育者として後進の育成・指導を行っています。
  6. 海外勤務
    日本の歯科技工技術は世界的にもレベルが高いとされています。多くの歯科技工士が海外へ赴き、活躍しています。

注1失った歯の代わりにその欠損部へ装着する入れ歯。全ての歯を喪失した症例に装着する総入れ歯と部分的に歯を喪失した症例に装着する部分入れ歯があります。保険適用と保険適用外で使用材料も変わってきます。

注2虫歯の治療などで歯を削った後に被せる人工歯。一般的には差し歯や被せ物といった呼ばれ方をします。歯の一部を被覆するインレーといった詰め物となる治療になることもあります。材料は金属で作られたものやプラスチックで作られたもの、セラミックで作られたもの等があります。保険適用と保険適用外で使用材料も変わってきます。