インフルエンザA型(H1N1)に関する感染予防・管理など諸情報
CDC・米国疾病予防管理センター
(The Centers for Disease Control and Prevention)が情報発信


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1)症状;CDC・米国疾病予防管理センター
インフルエンザA(H1N1)は、インフルエンザ様の症状を呈する;
発熱(38度以上):fever (greater than 100F)
悪寒:chills
頭痛及び全身痛:head and body aches
疲労感:fatigue
咳:cough
鼻詰り:stuffy nose
咽喉痛(炎):sore throat
嘔吐・下痢:vomiting and diarrhea

2)公衆へのCDC勧告
CDCは、予防のために(公衆に)次を勧告している;
@ 感染者に接触しない
A 感染したら他の人に接触しない
B 感染したら会社・学校・園を休み、外出しない
C マスクで口と鼻を覆う
D 手洗いの励行
E 目・鼻・口を触らない

3)歯科医師へのCDC勧告
以下のケースの場合、歯科医師は州または地域の保健局に届け出ることを推奨する。
@ 歯科医師が、感染の確認された地域に居住している
A 最近メキシコへ旅行をしたか、または感染者と接触をした患者がいる

4)院内感染管理:来院患者に対する感染管理・CDC勧告
@ 急性呼吸器疾患患者は受付時に確認し、個室(診療室)に入れ、ドアを閉めきりにしておく。
A 咳をする患者には使い捨ての外科用マスクを提供するか、または、テイッシュ・ペーパーと使用後に捨てる(手で開け閉めしない)ゴミ箱を提供する。
B 病んでいる患者は、診療室外にいるときは、外科用マスクを着用させる。
C インフルエンザの様の症状を呈している患者に対して、歯科ヘルスケア提供者は、使い捨て顔マスク、手袋、ガウン、目を保護するもの(例:ゴーグル)を着用する。直接の皮膚接触を避けるため。

5)院内感染管理:院内スタッフに対する感染管理・CDC勧告
診療所のスタッフが、急性呼吸器疾患症候を示し、出勤した場合は、どうすればよいか?
@ インフルエンザ様の症状(ILI)で、(咳、咽喉痛、筋肉痛などを伴って発熱している)スタッフは、出勤すべきではない。
A ILIのスタッフが治療を必要とする場合は、診療所、医院、病院へ行く前に、電話または、遠隔の方法で、自分のかかりつけの医療提供者に連絡すること。
B インフルエンザA(H1N1)感染者(または、疑いのある者)に接近していた時、適切な保護用具を着用していなかったスタッフは、CDCガイダンスに従って、予防的化学療法を受けること。
C 呼吸困難または、重篤な病状を示すスタッフは、直ちに、医師による治療を求めること。

6)情報検索の勧め
CDCは 医療保健提供者向けに「豚インフルエンザ・ガイダンス」や「医療施設におけるインフルエンザA(H1N1)感染者(または、疑いのある者)を治療する医療提供者のための感染管理・中間ガイダンス“等
色々な情報をウエッブサイトに掲載している。ADAは、会員に対し、下記等へのアクセスを勧めている。
@ 豚インフルエンザ(swine flu)に関するガイダンス
  www.cdc.gov/swineflu/guidance
A CDC発行・歯科医師のための感染予防(作成時、ADAも協業)
  www.ada.org/prof/resources/topics/cdc/index.asp#guidelines
B 最新の情報
  www.cdc.gov/swineflu/investigation.htm
C 感染確認または感染の疑いのある患者向け
  www.cdc.gov/swineflu/recommendations.htm
D “医療施設におけるインフルエンザA(H1N1)感染者(または、疑いのある者)を治療する医療提供者のための感染管理・中間ガイダンス”
“Interim Guidance for Infection Control for Care of Patients with Confirmed or Suspected Swine Influenza A(H1N1) Virus Infection in a Healthcare Setting”
www.cdc.gov/h1n1flu/guidelines_infection_control.htm
E“歯科診療施設における感染管理”“Infection Control in Dental Settings”
CDC’s Division of Oral Health in the document Prevention of Swine Influenza A (H1N1) in the dental healthcare setting.
F「手指の消毒・hand hygiene」「咳のエチケット・coughing etiquette」

7)呼称の変更:インフルエンザA型(H1N1)へ
世界保健機関は(WHO)は、4月30日、新型インフルエンザの呼称について、食肉産業に及ぼす影響などに配慮し、この日から「豚インフルエンザ」から「インフルエンザA型(H1N1)」に変更することを、WHOウェブサイトに掲載した声明で、明らかにした。

8)厚生労働省 平成21年度予算概算要求の主要事項(平成20年8月)
厚生労働省は、平成21年度予算概算要求の中で、「新型インフルエンザ対策の推進」を既に、掲げていた。
(増田:概算要求の結果については、知らない)

新型インフルエンザ対策の推進
対策の方向
新型インフルエンザが発生した場合に、そのまん延を防止し、国民生活への影響を最小限に抑えるため、医療提供体制の整備や検疫体制の強化、医薬品の備蓄と研究開発を推進する。
1. 地域における医療提供体制の整備の推進(48億円)
人工呼吸器の整備、医療機関と保健所等が連携するための協議会の設置、医療従事者に対する訓練・研修や地域住民向けの説明会を実施する。
2. 検疫体制の強化(4.6億円)
検疫所による水際対策強化のため、発熱者の発見や検査等を迅速に行うための機器などを整備する。
3. 医療品の備蓄と研究開発の推進(482億円)
抗インフルエンザウイルス薬(タミフル、リレンザ)等の備蓄を進めるとともに、パンデミックワクチン(新インフルエンザが発生した場合に、そのウイルスを基に製造されるワクチン)の早期確保を図るための研究開発等を推進する。

9)現状と対策 
9-1 新型インフルの影響 マスク販売急増、一部で在庫不足(日経:090504)
豚インフルエンザから変異した新型インフルエンザへの懸念から、薬局やインターネット通販などでの、マスクの販売が3日まで高水準を維持している。販売各社は商品調達に努めているが、一部在庫不足にもなっている。中略。ドラッグストア大手のスギ薬局では、5月に入ってマスクの売れ行きがさらに伸び、日によっては前年の約10倍に達する日もある。在庫は多めに確保したが、一部の商品で、5月中旬以降の調達のめどが立っていない。中略。特にウイルス防御機能の高いマスクは売り切れが多くなっている。

9-2 SARSの恐怖の甦り(デイリー読売・090504 Hong Kong AFP Jiji
香港では2003年のSARSの恐怖が甦り,市内はゴーストタウンと化している。5月1日(金)、メキシコからの香港への訪問者がアジアにおける“A H1N1”感染者・第1号と確認された。レストランや公共交通機関では、防御マスク姿があり、エレベータの押しボタンはセロファンで覆われ、家庭用消毒薬購入のための長い行列ができている。
9-3 インフルエンザ抑制のための投資を!
デイリー読売・090503 The Economist
今回、学んだ教訓のひとつは、「新種の疾病をチェックするシステムの改善が必要である」ということである。また、諸国は与えられた時間を、抗菌性医薬品の備蓄増加、ならびにワクチン製造による世界防御強化のために使うべきである。

9-4 情報グローバル連鎖危機を防げー(日経新聞主幹・090504)
新型インフル対策では、WHOを中心とした情報の共有と水際対策など各国の危機管理対策がますます重要になる。チャンWHO事務局長発言:「地球上の人類が脅威にさらされている」
                                               以上
                               梶@モリタ 顧問 増田次郎