鉛入り中国製補綴物、健康被害リスクを示さず。ADA研究報告の結論
以下情報は (株)モリタ 顧問 増田次郎 様よりご提供頂きました

鉛入り中国製補綴物、健康被害リスクを示さず。ADA研究報告の結論
ADA Professional Product Review・2009年冬季号 抜粋

オハイオ州コロンバスのローカルテレビ局が、2008年2月末、中国の歯科技工所から米国へ輸入された歯冠から鉛が検出されたことを放映した。
この報告を確認すると同時に、ADA(米国歯科医師会)は、即座に反応し、ADA会員へ報告し,情報を一般公衆にも提供した。さらに、科学的調査を行って、国内または,海外の歯科技工所で製作された歯冠中に少しでもあるとしたら、その危険度と可能性を究明した。
ADA科学部門とパッフェンバーガー・研究センター(Paffenbarger ResearchCenter・PRC)は、無作為に選択した国内及び海外の歯科技工所で製作された完成歯冠、および標準的な市販のポーセレンパウダーを入手して両方の分析を行った。
「試験・分析対象」:異なるメーカーのいろいろなシェードの44のポーセレンパウダーおよび103ヶのポーセレンメタル歯冠。
試験・分析報告によれば、測定可能なレベルの鉛はサンプルとしたポーセレンパウダーからも歯冠からも滲出せず、従って、国民に対する有意な健康リスクは示されなかった。
これまでのところ、入手可能なすべての証拠に基づいて、メタルボンド歯冠からの鉛の生物学的利用能による健康上のリスクは、飲料水や他のソースの分析による既知の暴露限度と比較して、存在しないということで、専門家の間で意見が一致している。
ADAは、この試験・分析結果を規制当局であるFDA・米食品医薬品局に報告中である。

ADAでは、「歯科医師側が歯科技工所と効果的なコミュニケーションを取ることの重要性」を強調している。また、「如何なる歯科材料、または、口腔内に装着される装置も、患者の歯科記録に適切に記載されねばならない。このような文書は、材料の品質または安全性に問題が懸念されるような万が一の場合に患者と医師の双方を保護し、大部分の懸念に対して迅速で効果的に対応することができる。」としている。

追記:
2008年ADA年次大会において、"2009年・歯科技工技術の未来会議“開催を要求する決議案がADA代議員会を通過した。この会議では、利害関係者間で、「歯科技工サービスの現状、米国における歯科技工教育、米国で提供される歯科補綴物サービスの質が高くあり続けることの保証」等を議論する。この会議は、ADA評議員会、歯科医業審議会、科学審議会、歯科医学教育および歯科医師資格認可審議会、全州代表メンバー、歯科認定委員会、補綴フォーラム、一般歯科アカデミー、全米歯科技工所協会、米国歯学教育研究学会、米国歯科学生協会の代表者から構成されている。
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